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会長(候補)挨拶
 

 

 

R3.6.26
京都大学土木会会長
清野 純史 

 ただいまご紹介に預かりました、昭和56年土木工学科卒業、昭和58年土木工学専攻修了の清野でございます。三村前会長の後任として、数ある京都大学の同窓会組織の中でも特に長い伝統を誇る京都大学土木会の会長を拝命することとなり、身に余る光栄でありますとともに、身の引き締まる思いでございます。これまでの長い伝統を引き継ぎ、会員各位の京土会に対する熱い思いを汚さぬよう努めてまいりたいと思いますので、皆様方のご指導、ご鞭撻の程どうぞよろしくお願い申し上げます。  ご存知のように、コロナ禍も2年目に入りましたが、いくつかの緊急事態宣言やまん延防止等重点措置を経てもまだその勢い今だ収まらず、という現状の中では、ワクチン接種の普及による感染拡大防止効果と集団免疫の早期獲得に期待せざるを得ません。大学自体もこの新型コロナウィルスの影響を受け、独自のレベル設定に従って教育研究活動に対する活動制限を設けています。本年度も4月の始めの2週間程度は対面授業が復活したものの、その後の感染拡大によりオンライン授業に戻りましたが、この度の京都府の緊急事態宣言解除により、再度対面授業が再開しつつあるような状況です。

 われわれも享受してきた京都大学の創造性豊かな、自由闊達な雰囲気の中で学生生活を過ごしながら、一生続くような人間関係を築いていくという当たりまえのことが、今の学生にとっては叶わなくなってきております。全国津々浦々から京大を目指して入ってきた学生が、自宅でのオンライン講義で年間を過ごすということが、学生にとって耐え難いことであることは想像に難くありません。もちろんオンラインには、これまで我々が気づかなかったオンラインならではの良さもあるでしょうが、以前のようにキャンパスに学生があふれ、活気のある大学の姿に一刻も早く戻ってもらいたいものです。

 歴代の会長もこの場で述べられてきた国際化や国際連携も盤石な形で継続しております。ここ十年程度だけでも、環境系が中心となって立ち上げた人間安全保障に関するグローバルCOEプログラムや土木系の学部国際コースの立ち上げ、大学の世界展開力強化事業によるASEAN諸国の大学との教育連携などなど、国際的に活躍できる人材育成に大きく貢献してきました。

 一方、これらとは多少趣の異なるJICAプロジェクトによる国際貢献について、ここで少しお話させていただきます。

 それは2013年に開発途上国が抱えるさまざまな課題解決に向けた事業の一環として、小野紘一先生が立ち上げられたミャンマーの『工学教育拡充プロジェクト』についてです。その後白土博通先生に引き継がれ、現在、私が土木・環境系の取りまとめを行っているプロジェクトです。

ミヤンマーと言えば、オウムを肩に乗せた水島上等兵の「ビルマの竪琴」や、現在でもその一部がタイ国内で供用されている「泰緬鉄道」の印象が強いのですが、一時はタイかビルマかと言われた程のASEANの成長株も、戦後長らく続いてきた社会主義政権、軍事政権の影響で、しっかりとした教育環境が形成されませんでした。そのため、経験豊富な教員の確保が難しく、高等教育の質が著しく低下しました。そこで、約十年前の民政復帰を受け、経済発展やインフラ開発に資する工学系人材の育成を目指したプロジェクトが立ち上がった次第です。京都大学では、ヤンゴン工科大学、マンダレー工科大学を対象に、土木環境系教員が中心となって、これまで、教員に対する講義/実験指導、シラバスや実験マニュアルの作成指導、修士・博士号取得支援、国際会議や国際セミナーの実施、日本型研究室体制の導入支援、共同研究の推進などを実施してきました。2019年末に完成した大型土木実験棟には、各種静的・動的油圧ジャッキ、大型万能試験機や油圧疲労試験機、最大加速度2Gの振動台、風洞実験室、またコンクリートを始めとする材料試験室や土質試験室には各種試験機や測定装置が、ひと足早く備え付けられた水理系実験設備と共に整備され、いざ供用開始という段階になっていました。

 この施設の本格運用とその後の産官学連携を目指して、今年の1月から第2フェーズとして4年間のプロジェクトが開始された矢先の2月、軍事クーデターが発生しました。イギリスや日本の支配を経て1948年にビルマ連邦として英植民地から独立した後も、数々の苦渋の歴史を経験してきたミャンマーは、2010年の総選挙以降の軍事政権下での民政移管、2015年と2020年のスーチー氏率いるNLDの圧勝による更なる民主化の進展が期待されていただけに、残念でなりません。京大の地球系にもたくさんのミャンマーからの留学生が在籍しておりますし、これまでも多くの教員が研修に訪れました。この事態が一刻も早く終焉を迎え、教員や学生が安心して教育研究に没頭できる日が一日も早く戻ってきて欲しいものです。

 以上、雑駁な挨拶になってしまいましたが、京土会の皆様には、今後も継続的なご支援を賜りますようお願い申し上げますとともに、皆様の今後の益々のご活躍とご健勝を祈念いたしまして、私の挨拶とさせていただきます。


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