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会長挨拶

 

R1.6.15
京都大学土木会会長
米田 稔

 ただ今ご紹介に預かりました,昭和56年衛生工学科卒,昭和58年同修士修了の米田です.長い伝統を持ち,数ある京都大学の同窓会組織の中でも有数の同窓会組織である京都大学土木会,通称,京土会の会長に推薦して頂きましたこと、身に余る光栄と感じております。

 私は今,土木と環境,それに資源を加えた地球系の皆様の支援を得て副研究科長をさせて頂き,また,教育担当の評議員も努めさせて頂いております.その業務において,他系の先生方とも多くの協働する機会を得る中で,化学系,機械系,電気電子系,建築系などの他系に比べての,土木・環境系の特徴というものを明確に意識するようになりました.そのひとつは比較的組織がしっかりしていることです.各専攻長がそれぞれの専攻においてリーダーシップを発揮し,比較的組織としてチームとして行動することに長けていると感じます.このことが京大全体においても唯一である学部教育における国際コースを創設し維持していられる,組織としての才能ではないかと思います.ちなみに学部の国際コースという点では,Kyoto iUPという外国の優秀な高校生を現地でリクルートし,奨学金付きで学部に入学させ,最終的には日本語で教育するという全学的教育プログラムが昨年度から開始されました.まだ受け入れ側の体制が整わず,今年は工学部全体でも2名の入学者に留まっているのですが,土木系の国際コースでの活動などがかなり参考にされ,土木の国際コースのすばらしさを際立たせているように感じます. 

 また,昨今の傾向として,文科省からは教育においてPlan Do Check Action PDAを回すことや,教育の実質化を行うことが強く求められています.それ自体は悪いことではないかと思うのですが,問題はいろいろな審査があり,そのエビデンスを残すことが求められます.このためPDCAへの対応においては学生や卒業生らに授業内容などについて多数のアンケートを求めることとなり,その解析,そしてどのような改善策を実施したか,といったことを目に見える形で残すことが求められます.このため,各学期の終わりには,学生らにはアンケート疲れなども見られ,教職員にとっては様々な事務処理に時間が取られてしまう,といった弊害も出てきているように思います.特に教務担当教員の先生方は私が教務担当教員をしていた頃よりも,ずっと多くの事務処理に時間を取られてしまっているのではないか,と推察されます.十分に教育のPDCAを回していくためには,事務処理に関するバックアップ体制の充実をなんとかしなければと思っています.
 
 
また,教育の実質化においては,こちらもエビデンス重視ですので,京大の伝統である自学自修という教育スタイルを取ることが困難になってきています.例えば現在は各学期できっちり15回の授業を行うことが求められますので,今年のゴールデンウィーク10連休においても授業時間の確保のために,2日間は授業日となりました.また,おそらく来年度からは履修登録においてCAP制が開始されます.CAP制は学生が授業外で十分な予習復習の時間を確保できるように,各学期の最大登録単位数を30単位程度に縛ってしまうという制度です.これは週にすると,15コマ,つまり1日に3科目しか登録できない,という制約になります.このような教育システムに対する様々な制約が課されていく中で,いかに京都大学としての伝統を守っていくのか,ということも大きな課題となりつつあるように思われます.

もう一つ大きな問題が予算の獲得です.国から来る運営費交付金はどんどん減らされ続け,各教員らが研究のために使用できる運営費,いわゆる校費というのは法人化前の半分近くに減ってしまったようにさえ感じられます.このため競争的資金と産学連携による学部資金の獲得が必須となっているのですが,教員らがその資金獲得のための申請書作りなどに大きな時間を割かざるを得ないという問題があります.また,産業界との連携による外部資金獲得という点においては,他系に比べると,土木・環境系はまだまだ弱いという感じがあります.基礎研究を重視するという京大の伝統において,さらに公共性の高い研究が多いという土木・環境の特性の中で,いかに産学連携を強化していくか,というのも我々の大きな課題ではないかと感じています.

もう一つ,産学連携という点では,いわゆる就職協定の撤廃の問題があります.あまり時間を使ってもと思いますので,詳しくは述べませんが,今後,産業界で通年採用が広がっていった場合,学生の就職活動がどうなるのか,公務員試験と民間就職の関係がどうなるのか,我々としてもどのような就職指導体制をとるべきなのかを手探りで進めていかねばならない状況になりつつあります.

このように多くの問題点を孕んだ大学教育ではありますが,京都大学としての誇りと伝統を守りながら,進化を続けて行きたいと考えております.京土会での活動などを通じて,産官学全ての分野の先輩方のご指導,後輩諸氏らのご協力をお願いしたいと存じます.この一年間,京土会会長としてはずかしくないように責務を果たしていく所存ですので,どうかよろしくお願い申し上げます.最後に京土会のますますの発展と会員の皆様の健康とさらなる発展を祈念いたしまして,私の挨拶とさせて頂きます.


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