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京土会表紙絵ギャラリー

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平成元年卒 盛川 仁
「リンドスのアクロポリス(ロドス島,ギリシャ)」

 ロドス島(またはロードス島)はエーゲ海南部に浮かぶギリシャ共和国で4番目に大きな島です.エーゲ海をはさんで北西にアテネ,南西にクレタ島,地中海をはさんで遥か南東にはエジプトのアレクサンドリアを望む位置にあります.紀元前10世紀ころにはギリシャ系民族のドーリア人がロドス島東岸のリンドスへ入植したのがこの地の文明の始まりと考えられています.
 ギリシア人は彼らの主要な都市国家において,海を見下ろす小高い丘の上にアクロポリスを造り,神殿を建てて彼らの神々を祀っていますが,リンドスの丘もそのようなアクロポリスの一つです.写真の柱は紀元前2〜3世紀ころに完成したと考えられる柱廊の一部です.このころのロドス島は,その地勢によりエーゲ海の通商の中心地として繁栄を謳歌していました.リンドスのアクロポリスは当時のロドス島の経済力や技術力を示すものと言えます.紀元前後のローマ帝国の時代にはアテネやアレクサンドリアと並ぶ文化の中心地として,地中海世界において特別な地位を占め続けます.その後,東ローマ帝国の衰亡とともに中世にはキリスト教徒の最前線としてオスマン帝国と対峙します.しかし,1522年にはオスマン帝国との激戦に敗れ,ロドス島は世界史の表舞台から少しずつ後退していきます.
 リンドスの柱はその使命を終えた後も,ロドス島の栄華盛衰を余すところなく静かに見守ってきました.2300年もの昔に作られた構造物が現代まで形をとどめている事に,そしてCivil Engineeringにかけた古代人の執念と誇りに深い感動を覚えます.土木工学は地図に残る仕事,と言われることがありますが,それはとりもなおさず歴史に残る仕事でもあります.この一葉の写真は,はるかな歴史の重みとともに2000年の後にも恥ずかしくない仕事を行いたいものだ,と己の気持ちを奮い起たせてくれるような気がします.



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